雨宿り

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ポツリポツリと降りだした雨は、あっという間に土砂降りの強い雨になった。 「…最悪。」 今日に限って、いつも鞄に入ってるはずの折り畳み傘が見当たらなかった。 そうだ、昨日、お姉ちゃんに貸したんだった…と、言うか、無理矢理、奪われたんだよね。はぁ…傘くらい新しいの買ってよね、本当。お姉ちゃん、稼いでるのにさ。 スマホの天気予報サイトを開けてみる。雨雲の様子を見てみるが、当分雲が切れそうにないし、雨は、さっきより強くなった。 「…しばらく止みそうにないなぁ。」 駅まで行けば、雨なんか目じゃない。家の側までは、濡れないで帰れるからだ。でも、今、この強い雨の中、駅まで走る気にはならない。何故なら、上から下まで濡れ鼠になってまで、そろそろ混み始めてる電車になんか、乗りたくないからだ。 結局、私は、この東屋で雨宿りするしかなくなった。誰もいない公園で、ひとり膝を抱えているのは、なんだか寂しかった。 「雨、早く止まないかな…。」
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