第八章 虚構

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「丁度、リコル殿達が襲われたところからです」 「………成程。随分と都合のいい流れなことで」  鼻を鳴らしたリコルは、先程まで大魔王が座っていた椅子に遠慮することなく腰かけると、足を組み、鼻から大きく空気を吐き出しながら頭を掻き始める。 「………その、襲われたと聞いていましたが。ご無事で何よりです」  コルティから先に話を切り出した。 「あぁ………正直話したくもないが、そうもいかない。まぁ、座りなよ。話してしまえば、すぐに終わる話さ」  向かい側の椅子を指さし、リコルが2人に座るよう声をかける。コルティとケリケラは、それに応じるように椅子に座り、額を掴みながら唇を噛みしめる彼の口が開くのを待つ。  ようやく決断したリコルが、2人に視線を合わせないまま目を閉じ、口を開ける。 「妹は………マキは死んだよ」  その一言に、コルティもケリケラも言葉を失った。  一度放った言葉を止められず、リコルは立て続けに説明を始める。 「いきなりだった。最後の難民が故郷に戻り、誰もいなくなった所に奴らは現れた。俺は手も足も出せずにやられ、死にかけた。マキもフォースィも一緒になって俺達と戦ってくれたが、奴らには敵わなかった。マキが俺の目の前で目を閉じた所まで覚えているが………気が付いたら、俺は大魔王(あいつ)に助けられ、知らない天井を見ていたのさ」  マキの最期を見たが、フォースィの行方は分かっていないとリコルは自嘲する。額を抑える指の力が強まりいきながら乾いた笑いを見せる彼は、必死に感情を抑えようとする行為の表れであった。 「奴ら………やはり、会社(カンパニー)の仕業………ですか」  コルティの問いに、リコルはようやく2人に顔を向けると、顔にしわが集まっていく。
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