第八章 虚構

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「ああ。一体何様のつもりか知らないが、奴らは自分達を『平和の使者』とか『正義の味方』とかを声高に主張していやがった………まぁ、勇者だった俺があれこれ言う資格はないかもしれないが」  自虐に近い冷たさと復讐に燃える熱さが決して混ざり合うことなくリコルの中で蠢いている。かつては自分がその側にいたが、リコルは行使される側になって初めて、その理不尽さを思い知ることになった。  そして、今は妹の敵を討つため、この村に身を隠しながら、大魔王と共にその機会をうかがっているのだという。 「んじゃ、さっきのって修行か何か?」  ケリケラが、自分に理解できる範囲で会話に参加すると、リコルが表情を和らげ、少し違うと言って首を振った。 「あれは時をかける呪法さ………あいつに会うためのな。俺は大魔王(やつ)が放った呪法に乗って、その成果を報告しているのさ。まぁ、平たく言えば実験台だ」 「ご主人様に………会える」  コルティの瞳が大きくなっていくが、リコルは落ち着けと右手を見せる。 「水を差すようで悪いが、この呪法はまだまだ成功には程遠い。何せ、あいつが飛ばされた正確な時間どころか場所さえ分からない上に、過去に戻っても呪法は半日しか維持できない。俺もその半日以内に、呪法に乗らないと帰って来られなくなるから、動ける範囲も限られる」  逆に言えば、相田と半日以内に会って戻って来られる時間と場所に出ないと意味がないとリコルが解説する。
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