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ウィンフォス王国とカデリア王国との戦争が、会社によって仕組まれていたことは、既にコルティ達を含めて分かっており、その計画を台無しにした相田達を目の敵にしていることは想像に難くないことも理解していた。
そして会社は、相田の様に異世界から来た者が中心となって運営されており、彼らの超人的な能力、時代には合わない超技術によって、この世界を思いのままに変えようとしている。コルティ達は、これまでの大魔王の話によって、お伽噺のような話が実際に存在していることを知らされていた。
「大魔王様が襲撃された洞窟内の物資の中にも、我々ではどう使うのか分からない品々が何点かありましたな」
鹵獲した物資等はこの村の地下に保管され、しばらくは金銭的に困ることもなく、自給自足の生活ができるとシュタインがお茶をすすりながら説明する。
現状を一通り把握できたコルティは、大きく息を吐き、疲れた表情を見せ始めていた。彼女からしてみれば、4年分の出来事を、一気に頭の中に詰め込んだのである。その中には、希望や絶望などが入り混じっており、自分なりに解釈するには時間が必要だった。
「少し話しすぎたようだ」
大魔王が切り出すと、シュタインがその意図に気付き、続きを話し始める。
「………そのようですね。今日はこれくらいにして、ひとまず解散としましょう。お二人の宿舎も用意できておりますので、ご自由にお使いください。私がご案内します」
この家を出た向かいの一軒家だとシュタインが説明し、最初に立ち上がった。
「俺も2階に戻るよ。今日は………もう疲れた」
次にリコルが立ち上がり、コルティ達に軽く手を振りながら階段に向かって行く。
「………ケリケラ。私達も行きましょう」
「………うん」
歯切れの悪い会話だったが、2人はシュタインの後ろについていくことにした。
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