序 章 馬車に揺られて

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 コルティは、シュタイン達と共に混乱していた魔王軍を再結集させると、それぞれの部族のある集落付近で随時解散させ、王都に着くころには千人にも満たない集団となっていた。  既に魔王軍という名前は存在しないが、解散後も、軍師だったシュタイン達を中心に、戦争に協力したことによる契約の履行と、これからの人間との共存についてウィンフォス王国と話し合うため、専門の委員会を発足。特にコルティは、両者の窓口兼相談役を任されることになった。  そして、1日、1日、今日こそ帰って来ると信じ、彼女はカレンの家でケリケラと共に主人の帰還を待ち続けていたのである。  感慨にふける中、コルティは空に影を見つける。 「カレンさん、ケリケラが戻って来ましたよ」 「本当ですか!? 何か良い報告がありそうですかね?」  コルティが空を指さし、カレンが手綱を持つ彼女の後ろから体を乗り出す。 「あ、リコルとマキも戻ってきましたね。おーぃ!」  馬を走らせながら戻って来る2つの影に向かって、カレンは大袈裟に手を振った。
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