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「場所的には、中央広場………だと思う」
リコルが何もない周囲を見渡しながら、進んだ距離と位置から元々の場所を推測する。妹のマキも、大体その位だと肯定するように頷き、起伏の激しい地面を確認する。
「こっちだよ」
力の抜けた声でケリケラが先を飛び続け、コルティ達を案内する。
そこは最も窪地の深い場所の中心であった。
「………これは」
コルティは目の前にある朽ちかけた存在に視線を上下させる。
それは巨大な2体の竜種の骨格だった。巨大な頭骨、2本足で歩くことができる太い足の骨格。近くでは彼らが持っていたであろう人間よりも大きな巨大な大剣と両刃の斧の残骸が所々に落ちている。
「これが、あの双子竜か」
リコルが一筋の汗を流す。砂に覆われかけているが、その体からは恐ろしい程の恐怖を内包している。多少の力量を持つ者であれば、否が応でも感じることができた。
「ラハーム、ラフーム」
肩を合わせるように力尽きている2体にコルティが近付く。触れば崩れてしまいそうな亀裂が見えるが、彼女は触らずにいられなかった。
「………その手は、コルティか」
躯から声が漏れる。僅かながら頭骨の目の溝に黒い光が生まれる。
「っ!?」
全員が驚いた。
「ラハーム!? それともラフーム!? あなた達、生きていたの!?」
「お、お父さんは!? どうなったの!?」
コルティとケリケラが席を切ったように声を荒げた。
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