26人が本棚に入れています
本棚に追加
「ケリケラも………いるのか。それと………その魂の気配は………そうか、生き返ったのか、お嬢ちゃん」
2つの頭骨が小さく震え、砂を落としながら笑っていた。最早、あの頃の覇気は全く感じられず、風前の灯火であることは誰の目にも明白だった。
「お礼を、言った方が良いのでしょうか」
困惑しつつも、マキは1歩前に出る。
「………言うなら、実際に生き返らせたあいつに言うんだな」
「我らは貴様の魂があまりに旨そうだったからな。単に持っていただけよ」
食べ損ねたと冗談を交えて笑うと、ラフームの片腕が砂となって崩れた。
「それで………あぁ、大将のことだったか」
ラハームの言葉に、コルティ達が頷く。だが、ラハームもラフームも瞳の光が点滅しはじめ、言葉も途切れ途切れになり始める。
「ラハーム! ラフーム!」
「お願い! もう少しだけ頑張って! お父さんは、どこにいるの!?」
コルティとケリケラの必死の声に、カレン達は声をかける隙も、挟み込めるだけの余地もなかった。言葉だけでも、どれだけ2人にとって大切な存在なのかが伝わってくる。
「………我ら、破壊と殺戮の………双子竜。俺は兄のラハーム」
「弟の、ラフーム」
だが2人の声にも空しく、双子竜は全身から砂が零れ始め、骨格が崩れていった。
「待って、お願い!」
コルティが骨格を支えようとするも、触れた所から骨は砂となって大地へと還っていく。
「「中々に………楽しかったぜ………あばよ」」
その言葉にいつもの笑い声を添えながら、空気中へと散り、恐怖の象徴を大陸中に響かせた双子竜はここに消滅した。
最初のコメントを投稿しよう!