第一章 跡地

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「ケリケラも………いるのか。それと………その魂の気配は………そうか、生き返ったのか、お嬢ちゃん」  2つの頭骨が小さく震え、砂を落としながら笑っていた。最早、あの頃の覇気は全く感じられず、風前の灯火であることは誰の目にも明白だった。 「お礼を、言った方が良いのでしょうか」  困惑しつつも、マキは1歩前に出る。 「………言うなら、実際に生き返らせたあいつに言うんだな」 「我らは貴様の魂があまりに旨そうだったからな。単に持っていただけよ」  食べ損ねたと冗談を交えて笑うと、ラフームの片腕が砂となって崩れた。 「それで………あぁ、大将のことだったか」  ラハームの言葉に、コルティ達が頷く。だが、ラハームもラフームも瞳の光が点滅しはじめ、言葉も途切れ途切れになり始める。 「ラハーム! ラフーム!」 「お願い! もう少しだけ頑張って! お父さんは、どこにいるの!?」  コルティとケリケラの必死の声に、カレン達は声をかける隙も、挟み込めるだけの余地もなかった。言葉だけでも、どれだけ2人にとって大切な存在なのかが伝わってくる。 「………我ら、破壊と殺戮の………双子竜。俺は兄のラハーム」 「弟の、ラフーム」  だが2人の声にも空しく、双子竜は全身から砂が零れ始め、骨格が崩れていった。 「待って、お願い!」  コルティが骨格を支えようとするも、触れた所から骨は砂となって大地へと還っていく。 「「中々に………楽しかったぜ………あばよ」」  その言葉にいつもの笑い声を添えながら、空気中へと散り、恐怖の象徴を大陸中に響かせた双子竜はここに消滅した。
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