ここはどこ?

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「……どこ?」  いつ眠ってしまったのか、それも覚えていない。そして今いる場所も、全く見覚えのない一室だった。シンプルでどこかの事務所のようなーー。 「やあ、お嬢さん。お目覚めかい?」  クレープをくれた男性だ。どう考えても素晴らしい状況、ではない。それは理解できるのに、大声をあげることどころか、それ以上思考を巡らせることすらできない。頭の中に靄がかかっているように、意識がぼんやりとしているのだ。 「ふん、極上な匂いはするが肉付きが悪いね」  その男の隣に、女がいた。いや、女と形容してもいいのだろうか? まるで虫のように頭から触角のようなものが飛び出ているのだ。その姿にギョッとしたいのだが、床に寝転んだまま体が全く反応しない。
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