奇跡は起こるのか?

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 俯くあかりの頭を、みゆきは優しくなでた。 「でも、会いに来てくれて嬉しいわ。よくこの手紙を持ってたわね」 「……他の手紙は全部捨てられて、だから他になくて」 「今、どこに住んでいるの?」 「ーーっ」 「ごめんね、前の住所に送ったら宛先不明で返ってきちゃったの。引っ越したの?」  頷くあかりに「そう」とみゆきは優しく返す。 「お婆さんは、お元気?」 「……」 「あかりちゃん?」 「……帰る」  小さくそう口にすると、あかりは立ち上がった。 「あかりちゃん?」 「すみません、迷惑かけて……、でも、もう帰ります」 「ま、待って! それなら連絡先だけでも」 「……ごめんなんさい」  立ち去ろうとするあかりの手を掴んだのは、アレックスだった。その手を見て、彼は小さく息を吐きだした。
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