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「こんなの、中学生の手ではありません。あかぎれに爪もぼろぼろ。もしかして、家事全般、いえ、もしかしたらそのお婆さんの世話をあなたが全部してるのでは?」
「ーーっ」
驚いて顔をあげるあかりに、「やはり」とアレックスはこぼした。
「ちょっ、どういうこと!? この子はまだ中学生よ! そんなお婆さんの世話だなんてーー」
「ヤングケアラー。今日本が抱えてる問題の一つです」
「ヤング、ケアラー……?」
聞き返すみゆきに、アレックスはゆっくりと頷いた。
「まだ子供が、同居する年老いた祖父母、もしくは身体が不自由な両親の面介護をすることです」
「そんな、子供が?」
みゆきは驚くが、これが今の日本の現状だ。
「そのせいで学校に通えない子供もいるくらいです。これは裕福とか貧困だけの問題じゃないらしく、両親が共働きでも起こり得たり、その事情は複雑らしいのですが……」
あかりの場合は、単純明快。他に頼る人が居ないのだ。
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