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「いや、とても大丈夫には見えないよ。小学生? それにしてはーー」
「ちゅ、中学なんで!」
大丈夫です、と振り切って走ろうとしたのに、その手を掴まれて走れなかった。
「もしかして、家出、かな?」
「ーーっ」
その言葉に、思わず言葉を詰まらせてしまった。厳密には家出じゃない。
いや、出れるものなら出たかった。だけど、今日も帰らないといけない。どんなに帰りたくなくても、帰らないといけない場所、それが彼女にとっての『家』だった。
「怖がらなくても大丈夫だよ、おじさんは警察でも学校の先生でもない。でも、困ってる人はほっとけない性格でね。もし良かったらーー」
「誘拐の現行犯なんて初めてだなぁ」
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