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「僕が手伝えることかな?」
その提案に、彼女は少し考えてそれからゆっくりと首を横に振った。その態度にアレックスは「そっか」と答えて少し彼女から離れた。視界から消える陰に顔をあげると、彼はにこりと笑う。
「これ、僕の名刺。困ったことがあったら電話しておいで。そうそう、変な人について言っちゃダメだよ? 君は可愛いから」
彼は本当に優しい人なんだろう、こんながりがりの自分を『可愛い』だなんていう人は、いままでいなかったから。
だからあかりは「ありがとうございます」と頭を下げて、その場から逃げるように走り出した。
見つかるかもしれない、こんな奇跡が起こる町なら、見つけることが出来るかもしれない。
そう思って、見える異人館を全部回った。巡っている途中、歩く街並みはただの住宅街だ。
けれどそのマンションやアパートも、ずっと見て回った。
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