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常田 祐司
第1話 勇者で、魔法使い
最近のライトノベルと呼ばれる小説には、異世界物の話が多い。目覚めたら勇者になってただとか、知らないうちに魔法が使えるようになってただとか、スライムになってだたとか訳の分からない物まであるが、気づいたら自分が犯罪者になってたなんて想像できるだろうか。
俺は殺したいほど憎い人間もいないし、窃盗など働くほど金に困ってるわけでもない。多額の金を横領してしまうほど大きな会社に勤めているわけでもなく、ましてや国家の機密を持ち出してしまうスパイでもない。
朝目覚めたら、隣に9歳の女の子が眠っている。変態ではないので、悪戯したわけではない。ただ、彼女の親に無断で連れ出してしまった。誘拐だ。
それなのに彼女は、俺のことを勇者だと言い、魔法使いみたいだと言う。
始まりは3日前のことだった。
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