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抱かせて下さい
「大した事じゃないです」
そう言う伊田に鈴木はフッと微笑んだ。
暫く鈴木はキーボードを打っていたが、ピタッと動きが止まり伊田がチラッと見ると、PC画面を見ながら眉が八の字になっている。
「どうかしましたか?」
「うーん。この場合どうしたらいいんだろう……。何故だか文字がズレてしまう」
伊田が立ち上がり、鈴木の背後に回ると「どれ……」と鈴木に覆いかぶさった。
鈴木はそんな体勢にドキッとする。
伊田から日向と汗のいい匂いがした。
伊田が戸惑う鈴木の握るマウスの上から手を重ねる。
【"かな打ち"かいっ】
伊田はPC画面を見て思わず心の中でツッコむ。
「ああ、ここに全角のスペースが入っちゃってます」
「そ……そうなの?」
「ええ」
伊田が修正し、鈴木を見ると耳が赤くなっている。
伊田はフッと笑うとそのまま耳たぶをペロっと舐めた。鈴木は思わずビクッと体を動かす。
「い……伊田先生?あっ……」
「鈴木先生……」
背後から伊田に抱きしめられて、ハッとする。周りを見ると2人きりだとやっと気付いた。
「や……止めてくれ」
「アンタほんとは"わざと"じゃないのか?俺の事……誘ってます?」
「な、何を。さ……誘ってない。誘ってなんか……ない。まずいよ、誰か……来たら……」
「あれから間宮とはどうなんですか?」
「は……離して」
伊田は"止められねぇ"というふうに鈴木の耳タブにジュッと吸いつき、首筋を舐めながら鈴木のスーツの上着に手を差し込み、ワイシャツの上から乳首を転がす。
「やっ……んんっ」
職員室の入口のドアは全開しており、誰がいつ通るのか気が気じゃない。
「1度この体を抱かせて下さいよ、鈴木先生……」
「い……伊田先生。止めて」
「アンタの中にぶち込みてぇ」
「……やっ」
乳首を弄られ、プックリと膨らみ更にクリクリと指先で擦られる。
「んんっ」
その時、廊下の方から話し声が近付いてき2人はハッとし、伊田は鈴木からパッと手を離した。
ドアの前を保健医と何故か久城が横切り、久城が一瞬だが職員室の中を見た。ふとその足を止める。
鈴木の背後にジャージ姿の男が不自然に立っており、鈴木のネクタイが少し乱れていて顔が赤くなっていた。
鈴木も一瞬久城と目が合った気がした。
【何で崇が?今の見ら……れた?】
「……久城さん?どうかされましたか?」
「あ……いえ」
「こちらです」
「あ、はい」
久城は保健医の後に続く。
ちょうどチャイムが鳴り、昼休憩に入るとザワザワと廊下が騒がしくなった。
伊田はチッと心の中で舌打ちをし、席に戻り鈴木はホッとして何故久城がここに居たのかを考えていた。
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