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告白
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『もしこの先、アイツに捨てられる……なんて事が万が一あったら、俺がお前を迎えに行ってもいいか?』
『迎えに……行く』
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鈴木は頭を左右に振る。
「間宮く……」
座って居られなくて鈴木はそのまま倒れるように畳に横になった。
3分経ってもカップラーメンは手をつけられないまま、微かに開いた蓋の隙間から湯気が立ち上がっていた。
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その頃、間宮は父親と駅前の大衆居酒屋に居た。とりあえず意味無く2人は乾杯をしてビールをグッと飲む。
メニュー表を見ながら間宮が適当にオーダーすると父親が大事そうに椅子の後ろに置いている風呂敷に目がいった。
「で、急にどうしたの?親父が出てくるとか。何か家であった?お袋と喧嘩でもした?」
「そんなんじゃないよ。お前に会いに来たのは、どんな生活をしているのか気になったのと……。これだ」
例の風呂敷包みを開いて写真を見せた。
「……何これ。お見合い写真?」
「そうだ。お前にな?可愛らしい娘さんだろう?お前の2つ下の年齢だ。これが彼女の身上書だ」
「ふぅーん……」
間宮はそれを暫く見てパタッと閉じて父親に返した。
「おいおい、ちゃんと見ないか」
「見た。結果から言うと俺はお見合いはしない」
「……何故?もしかして付き合っている人がもう居るとかか?」
「うん。居る」
「居るのか。鈴木さんは"居ない"って言ってたがなぁ」
そう言う父親に間宮は「え?!」と言った。
「鈴木さん、この事知ってんのか?」
「ああ、お前を待っている間に……な。写真も一緒に見た」
【えええ?!】
「何て事してくれるんだ……。で、鈴木さんは何て?」
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『可愛らしい方ですね。間宮くんに凄くお似合いだ』
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「……」
間宮はハァ……と溜息をつく。
先程メールした時には特に何も言っていなかった。
彼女なら「どういう事よ?!」と責められても仕方がないくらいの案件だ。
【きっと鈴木さん……傷ついてる。あの人はそういう人だ】
今直ぐ帰って鈴木を抱きしめたいところだが父親も居るしちょうどオーダーした食べ物が運ばれてきた。
「お前のその……付き合っている人と言うのはどんな子だ?会社の子か?」
「違う。中学の教師をしてて"子"と言うより"人"だ。年上の可愛い人」
「教師の"姉さん女房"か……。真面目そうな女性で良かった。付き合ってるんなら会わせろよ」
「もう親父、会ってる」
「……え?」
「親父がこれ一緒に見た人だよ」
「……」
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