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ちらちら見てくる、いろんな眼差しと聞こえてくる囁きに軽く息を吐く。
「長谷川さん、目立つものね。こんなに雰囲気が変わると思わなかった。」
再び身体の向きを変えた久瀬さんは、揶揄うような笑みを浮かべた。
「そ、そうかな。」
苦笑いをしながら答える。
だって、あの男から再三おとなしく目立たないようにって言われているもの。
それから、あの日から何年経っているかはわからないけど、歳が変わらない人っていないと思う。
「ほら、いい場所を見つけたのよ。」
笑顔を見せた久瀬さんは、ある場所へと歩いていく。
店側から入った奥の角側に、何やら目立つ物を置いてある。
可愛らしい雰囲気がするお店だ。
壁紙の色は淡い色をした白色に貼り付けていて、テーブルの色は茶色と黒に組み合わせた模様で、椅子も座りやすい形に作られている。
点灯の光も今流行りの目に優しい光になっている。
音楽が流れていて心が落ち着くような優しい音だ。
入り口には観葉植物が備えられてあり、空気清浄機まである。
会計の横には、お持ち帰り専用の場所まで設けてあり、冷えないようにと工夫までされてある。
私と久瀬さんが席に着く。
ふと、視線を辿り久瀬さんを見る。
私が来るまで何も食べていないように思えた。
「もしかして、私が来るまで待っていたの?」
「一人で食べるよりは一緒に食べたいなと思ってね。それに、いろんな話もしたいし。」
にっこりと笑う久瀬さんに。
「そ、そうなんだね。ありがとう!」
私も負けずと微笑んだ。
「何にしようかな。」
考えながら立ち上がろうとした時。
【いらっしゃいませ。】
綺麗な声のする人物に気がつく。
紺色のエプロンを腰回りに巻きつけ、白のシャツに黒のズボンを身につける女性が立っていた。
黒の髪を纏めていて、ナチュラルな化粧の綺麗な女性に思わず見惚れてしまう。
「は、長谷川さん。」
焦るような久瀬さんに気がついた私は、顔を真っ赤にさせて椅子に座った。
「こちらは初めてご来店でしょうか?」
ふわりと優しく笑う女性に。
「は、はい。」
何故か声がうわずってしまう。
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