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それは、私の中にいる、もうひとりの私。
説明をすれば長くなるけど、簡単に話せば、私はあの世界のお姫様だったらしい。
それも、かなり力のあるお姫様。
「今日は現れないのね。」
相変わらず何を考えているのかわからない。
あの男と同じように、あの世界の人の考えている事なんてわからないかもしれない。
黙々と口をゆすいで歯磨きタイムを終了した。
くるりと身体の向きを変えて、浴室のガラス扉を開ける。
制服を身に着けた物を脱ぎだして、脱衣籠へ入れて追い焚き機能のボタンを押して中へ入っていく。
蛇口を捻り、適温を身体へ向ける。
簡単に済ます為に今日はシャワーだけにしよう。
身体を洗う為の行程をしていく。
頭から足のつま先まで隅々と身体を濡らしていき、シャンプー、リンス、トリートメントを次々に髪につけて丁寧に洗い、そのままの状態でボディソープで、これまた丁寧に身体を洗っていく。
途中で顔は洗顔フォームで洗うけどね。
だって、私、高校生だもの。
歳を取らないけど、何年経っても高校生だから外見の手入れは外したくない。
女って面倒くさいなあ、なんて、あの男が言っていたけど無視をする。
すべてを洗いシャワーで流していく。
ここのお風呂場は全身姿身のある鏡がある。
洗い終えた私は確認の為に首すじを見た。
「やっぱり残っていないのね。噛んだ跡なんて。」
呟きながら触る首筋に無表情で見る。
本当に、なんて色気の無い身体なんだろう。
もう少し胸があったらと自分で思っては落ち込んだ。
色気があったら変わるのかなと思った事は伏せとく。
私だって間違いは犯したくないもの。
でも、どこかで小さな気持ちが見え隠れする事に悩みが無いなんてない。
あの男だって、わかってはいる。
間違いは絶対に犯さない事は。
「ねぇ、本当は見ているんでしょう?」
鏡に映る自分に問いかける。
端から見たら頭のオカシイ女の子だ。
シーンと静まり返った雰囲気に私は軽く溜息をつく。
なにをやっているんだろう、私。
自分に対して呆れながら身体の向きを変える。
その時。
『……………気をつけて(Be careful』
微かな声が聞こえてきた。
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