11人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
前にされたことがあったけど、相変わらず慣れない。
いや、慣れる人がいたら聞いてみたいものだ。
鋭い牙が首元に刺してくる。
もともと注射嫌いな私。
あれより鋭い?かも。
ときどき甘ったるい血のニオイが私の中の本能が欲しがる。
……………私にも頂戴と。
痛さに身をよじれば離さないように、がっちり身体を掴んでいるし、何より首に息がかかり、鋭い牙が容赦なく突き刺さる。
痛い、痛いってば!!
なんて思っているうちに、終えたのかゆっくりあの男は離れた。
「………………やっぱり美味しいな。人間と吸血鬼の血が混ざっているのはヤミつきになる。」
にやりと妖艶に笑った。
滴る血を唇の端に少しだけ残っているけど。
慣れない笑顔に石のように固まる。
「なに、欲しいの?そうだよな、君も吸血鬼だからな。」
いいよ、あげようか?
へ?
俺の血を飲めば少しはわかるだろう、いろんな事にな?
なんて言ったあの男は、何故か自分の手首に指を当ててなぞるように滑らす。
すると、ぽたりぽたり、落ちていく血の滴が落ちていく。
「さあ、宿題の前にお腹が空いたら意味が無い。」
ごくりと血の滴を見た私を見て黒い笑みを浮かべた。
あの男は、顔を上へ向けて口を開ける。
手首から流れる血を美味しそうに飲み始めた。
「ほら。美味しいぞ?遠慮はいらない。」
「え?」
ふわりとニオイのする甘いニオイに、無意識にぺろりと唇を舐めていたのは知らなかった。
そんな私を見て、あの男が更に黒い笑みを浮かべている。
「結衣、おいで?欲しいだろ?」
魅了するような蕩ける声に、私の思考は飛んでいく。
無意識に身体を動かしてあの男へ歩いていく。
最初のコメントを投稿しよう!