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ま、たまにはいいよね?
普通の生活に憧れても。
幸い、あの男もいないし。
浮かれた気持ちで、お風呂場へ行く事にした。
その前に久瀬さんに連絡しなくては。
手に持っている携帯から、先程かかってきた久瀬さんの着信を見る。
悲しい事だが、他にはいない、私の携帯の着信履歴。
ラインから使っているらしく、普通の?着信には履歴が残らないらしい。
現代って凄いと思った私って。
とりあえず、久瀬さんへかけてみる事にした。
♪♪〜〜〜♪♪♪♪〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪
無機質な音のするメロディが流れてくる。
「あ、神無月さん?びっくりしたー!電話をありがとう。」
なにやらテンションが上がっていて耳が痛い。
断るわけにはいかないから、脅されにも似たような言い方をされたしね。
「さっき起きたから準備に時間がかかるから一時間くらい待って欲しいかと。」
「一時間?!」
驚いたような声が聞こえてくる。
だって約束をしていないしですね。
うーんと何やら悩んでいる雰囲気が電話からでもわかる。
「いいわ。私からお願いしたから待っているわね。じゃあ、高校近くのアフリコメコのお店でね。ふふっ、神無月さんの普段着楽しみだわ。」
クスクス笑いながら電話が切れた。
約束をしていないのに一時間も待つとは凄い。
断るつもりだったあたしは内心関心してしまった。
普通、三十分来なかったら帰るよね、友達なら。
友達かあ。
この選択を取ってから友達は作るつもりはなかった。
「夏穂ちゃん、元気かな。」
とても、とても大好きな親友。
目を閉じれば、明るい笑顔でいつも笑っていた大好きな彼女。
クレープといえば夏穂ちゃんも好きだったんだよね。
なんの偶然なのか、クレープだとは。
懐かしい思いでを浮かべながら、浴室へと歩いていく。
カチャリとドアを開けて、洗面所の側にある小さな棚にバスタオルと衣類、忘れてはいけない携帯を置く。
歯を磨くために洗面所の戸棚から、小さなタオルとコップを取り出す。
戸棚と蛇口の隙間に置き場所があり、歯ブラシと歯磨き粉を取り出す。
蛇口を捻り冷たい水が出る。
適量な量の水をコップに流し入れ、歯磨き粉を歯ブラシに適宜付けて、それから口に入れて開始する。
毎日、毎日見る顔だけど、時々違う顔が現れる事もある。
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