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「だからといって、そんな風にされたら誤解をする」
「誤解?」
「この夜が、最後になる予感がして不吉だ。無事に全てを終わらせたら、約束通り……一緒になろう」
レナは無言で頷くとカイの胸の上で泣いた。
「私……ルイス様の前に姿を現しても、あなたと一緒になれる?」
「それは最初に懸念したが、もう割り切ったんだ。こうなったら一緒になれるまで、共にいよう」
レナは泣きながら頷いた。その背中をカイが撫でる。
「あと……さっきのは本当にまずかった。もう二度としないでくれ」
「どうして?」
「これでも日頃、耐えているんだ。努力が水の泡になりかねない」
カイがそういうと、レナは「そんな努力は要らないのに」と言って膨れていた。
「レナに真意が伝わっていないようだから、この際ハッキリ伝えておこう……。この先、何があっても俺はレナを伴侶にしたい。そうなった時には、恐らく跡継ぎがどうだとか、子を成さねばならない事情が出て来る」
「まあ、そうでしょうね」
「その時にいくらでもできることは置いておこう。今はレナと二人きりでいたい。それに、軽はずみな行為で子が出来でもしたら、何の罪もない子どもを血統の問題に巻き込んでしまう。それは嫌だ」
カイは何とか起き上がり、レナの頬に触れた。不思議そうな顔がカイを見ていた。
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