少数道中嫉心と共に

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「ブリステに間諜を入れて内側から争いを起こさせるなんて、そんなことをしそうな人に見えなかったもんな……前に、ルリアーナで見たルイス様は」 「そうだね……人って、何面性もあるものだから分からないけど」 2人はそんな話をしながら、ポテンシア王国内を進んだ。最初に滞在するのはポテンシアのとある町にあるロキの資本が入った宿になる。 「宿で一旦情報を整理しよう。そこにポテンシア内の情報が集まるように指示してあるから」 「流石だなあ……」 シンはロキに羨望の眼差しを送る。 元々ポテンシア王国内にはロキの会社が出資している事業がいくつかある。そのネットワークを活かした「生きた情報」が今回は重要になって来るのだ。 「でしょ? こんなに有能でお金も持ってて顔も悪くないのにさ、なんであんな男の方がいいんだろうね……」 ロキはそう言って溜息をつく。シンは苦笑いしかできない。 「まあ、人には好みってものがあるからさ」 「ああいう真面目で堅い男が良かったのかなあ……」 「本人に聞けよ」 「本当に魅力なのは中身だって言ってたよ。優しくて可愛いんだって」 思い出してロキは不機嫌になった。 カイ・ハウザーを優しくて可愛いと思うくらいに、カイがレナに対して人には見せない顔を見せていることは分かる。 それを想像すると嫉妬心がこみ上げて来た。 「優しくて可愛い……それはまた、団長に一番似合わない形容詞で来たな」 シンは吹き出している。 「確かにおかしいけど、俺は全然面白くないんだよ」 「どう考えても転がされてんだろ、あの団長が」 「畜生……転がされたいな……」 ロキが悔しそうにそう言うのを、シンは既にこの状況がレナに転がされた結果ではないだろうかと首を傾げる。 目の前で堂々とベタベタとしながら周りが見えていない雰囲気の前方カップルについては、とりあえず言及しないことにした。
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