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夜は更けて
「何だったの? 呼び出し」
カイがレナを寝かしつけてから部屋に戻ると、シンとロキは何か話をしていたようだった。
ロキは部屋を訪れたレナの顔を見ていたため、何を思いつめていたのかが気になっている。
「ルイス王子に国を託したことで、自分を責めていた。眠れないようだったから話を聞いて側にいただけだ」
カイが報告したのを、ロキは面白くなさそうに「そう」と言って部屋に備え付けられていたブランデーをグラスに注ぐ。
「はい。付き合いなよ、今日くらい」
「ああ、別に構わないが」
ロキに差し出されたグラスを受け取ると、カイもシンの隣に座り、3人は小さなテーブルを囲む形になる。
「正直さ、今回どうするべきなのかって、まだ迷ってるんだ」
「ルイス王子との接触か?」
ロキとカイはレナの身を一番に案じている。危険な目に遭わせたくない部分においては意見が一致した。
「普通に考えて、『会いたかった』なんて再会になるはずがないだろ? 身も危険だし、それに……もうこのまま平民として生きて欲しいよ、俺はさ」
ロキの話に、カイは悲痛な表情を隠さなかった。
平民として生きて欲しい。カイはその望みから目を背けてきたのだ。
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