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「……リオだってさ。本物かな? 国王のところの……」
「あ、会ってみたいわ!」
ロキから出た名前に、レナはすかさず反応した。
リオ、本名レオナルド・サントーロは、レナの暗殺を任されていた。国王に近い場所で重要な情報を持って動いているはずだ。
「……暗殺者で結果的にはレナの恩人か。どこでどうやってコンタクトを取って来たんだ? 相変わらず怪しい動きをしているやつだな」
カイが水を飲んで冷静に言う。シンも概ねその意見に賛成らしく頷いていた。
「まあ、怪しいよね。ポテンシア内でやっている飲食店のVIP席に誰かと来ていたみたいだよ。そこで、『社長宛』の伝言を残された。なんでこんなにタイミングよく、こちらの動きを知っているかのように動いたのか……」
「その話を聞くと、本人のような気がするな。本物のレオナルドだからと言って、ちっとも安心はできないが」
「国王の手先として動いている中での接触だとしたら、穏やかじゃないですね」
3人には、レナが会ってみたいと言ったことなどまるで耳に入っていないようだ。深刻な顔でレオナルドの動きに不気味さを感じながらどうするべきかと話し合っている。
「何よ、情報が手に入るかもしれないから、会ってみたら良いじゃない」
レナは気軽に言うが、3人は難しい顔をした。
「会うのは良いが、誰かを殺しに来るかもしれないんだぞ?」
カイはそう言って、以前レナの実母を殺めたレオナルドの姿を思い出した。
直接対峙した場合、レナ1人程度であれば守れるかもしれないが全員を守るのは無理だろう。
「そうだね。狙われるとしたら、一番可能性が高いのは団長だけど」
「俺は……『気』が戻ってさえいれば大丈夫だ」
「まだ万全ではないってことですね?」
3人はそれぞれに溜息をついた。なぜ、よりによってこのタイミングなのだ。カイは、だからこそのレオナルドなのかもしれないとすら思い、嫌な予感を拭いきれずにいた。
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