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リビングにつくと、八代さんがため息をつく。
「絵本の中に入ったみたいだ。」
私は、ウットリと部屋を眺める八代さんを見つめる。
この人、ロマンチストだな。でもイヤじゃない。言葉選びが上手なのかな。などと考えていると、祖母がキッチンからやってくる。
大きなお盆に、紅茶セットとクッキーが載ったお皿を載せている。
テーブルに並べるのを手伝っていると、八代さんが近づいてきて、またため息をつく。
「食器も綺麗ですね。」
「素敵でしょう。どれも、この家が建てられた時にいただいたものだから、もう古いものですけど、とても気に入っているの。」
祖母が微笑む。
「新築祝いですか?お知り合いも皆さんセンスがいいんですね。」
八代さんが聞くと
「いえ、旦那様と奥様が用意してくださったんです。」
と祖母が答える。私には、八代さんの頭の上にハテナマークが並んだのが見える。
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