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「ご興味あれば、はるちゃんが説明します。」
「え?私?」
指名されて驚くと、祖母が当然のように頷く。
「はるちゃんが話すと、物語みたいで面白いわ。」
「でも・・・。」
私が躊躇していると、八代さんが遠慮がちに
「興味はありますが、プライベートなお話しになりそうですよね?伺っていいんでしょうか。」
と聞く。私はつい、八代さんを見つめてしまう。祖母が私と八代さんを見て微笑む。
「そんな気遣いをしてくださる八代さんだから、お話ししてもいいと思うのよ。」
確かに、と心の中で呟いて、私はわざとらしく手を胸にあてる。
「それでは、僭越ながら孫の私が、クッキーを食べながらお話しします。」
三人で席につき、私は話し始める。
「祖母はご覧の通り美人で、子供の頃から噂され、声をかけられ、それはそれは大変だったそうです。芸能界からのお誘いもありましたが、全部断っていました。」
八代さんが祖母を見る。
「どうしてですか?」
「目立ってもいいことないでしょう?」
そういうものですか、と八代さんが呟く。
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