ナポリタン

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「ナポレオンというお方をご存知でしょうか? 軍人からフランス皇帝にまで成り上がった革命家のことです。歴史に名を残したナポレオンのことですから、彼の功績に関しては詳しく述べるまでもありません。 ただ、彼の最期に関しては少しここで新しい説を述べなくてはなりません。 ナポレオンは晩年(と言っても40代後半ですが)に2度島流しに合います。1度目の島流しは監視の目を掻い潜って、エルザ島を抜け出し何と皇帝に復活します。しかし、そこから3ヶ月後には2度目の島流しに合い、そこで生涯を終えることになります。ここで疑問が沸いてきます。 なぜ、1度目は島を抜け出すことができて、2度目はできなかったのか? その理由に、ナポリタンが関わってるのです。 言うならば「ナポレオンのナポリタン」が存在したのです。 ナポレオンは1度目の島を抜け出して皇帝に復活した後、宮殿の自室で昼食を取っていました。そこにナポリタンが出されました。ただ、そのナポリタンを食べると「縁のない土地で死ぬ」という呪いがかけられていました。ナポレオンはそんなことは知らずにナポリタンを食べました。 そのナポリタンを食べてから数ヶ月後に高温多湿なセントヘレナ島に幽閉され、数年後に彼は死にました。 ナポレオンのナポリタンには、ピーマン玉ねぎハムの他に、豚肉で作られたミートソースがかけられていました。そのレシピを再現したものがこちらになります」 そう言ってシェフは私の前に料理を差し出す。 見た目は普通のナポリタンだが、確かにミートソースがかけられている。 「ナポレオンのナポリタン、どうぞお楽しみください」 私が食べるのをためらっていると、「心配いりません。呪いなんてかけていませんから」とシェフは言った。 そういう彼の目は笑っていなかった。店にかけられた肖像画のナポレオンが、こちらをじっと見ていた。
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