母の処方箋

　いいええ！　夫はなぁんの役にも立ちゃしません。せいぜいが、毎日塾が終わった午後九時半に車で迎えにいくくらいで。勉強はぜーんぶ、あたくしがマネジメントいたしましたのよ。その甲斐もあって御三家なんて言われる中学に正規合格いたしまして。そそ。補欠なんかじゃなく、正真正銘の一発合格という意味ですわ。でその中学というのがあの開へ……ああそうでしたわね、さっき申しましたっけね。ええと、なんだったかしら。あっ、それと。滑り止めに掲揚中学普通部にも合格いたしましたが、蹴りました。だって、ねえ？　掲揚じゃあ将来東大に行かれませんものねえ！　え？　あらやだセンセ、掲揚なのォ？　うっそー。ほほ、でもホラ、センセ、医学部は別格ですもの、気になさることありませんわよ。私立だからって恥ずかしいことでもなんでも……え、ああうちの人？　そこらへんの三流大ですわ。