母の処方箋

　ええ、そう、それで……それからしばらくです。せっかく開閉に受かったというのに、息子はちっとも楽しそうではありませんでした。学校でいじめられているのかとか、勉強についていかれないのか、なんてずいぶん気を回したもんですが、どうも今にして思うとあれは思春期病ですわね。誰でもがかかる一過性の病なのですわ。毎日暗ぁい顔してぶつぶつと「僕はなぜ生まれたのか」「このまま人生が続いていくなんて耐えられない」「僕には自由がない」なんて言うのでびっくりいたしました。だって開閉と言ったら自由と東大と運動会というくらいのもので、男子校らしくのびのびとした教育と思って入学させましたから、それじゃあなんのために苦労して受験勉強したんだか分かりません。高い学費も払うのですから、めいっぱい、上限まで学校生活満喫してもらわないと元が取れないじゃありませんか！