迷うなら、恋じゃない

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   情けなくなると同時に、少し恥ずかしくなった。  はるやが寝ている間に、彼の部屋のトイレでこうして物思いにふけっていることも、ぜんぶ。  はるやだって、いまはあたしを気に入ってくれてはいるが、いつ飽きて離れていってしまうかわからないのだ。  まだ20代の男に見初められてる、なんて変な椅子に座っていてはいけない。 「だ、だめだ。いいオンナづらしてるだけじゃだめだ」  あたしの中に、なにもかもを手にした女性が浮かんでいた。  この世でいちばんうらやましく、そして許せない女の顔だ。 .
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