命長ければ恥多し

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   朝イチで、古い友達に連絡を取った。斉木めぐみだ。  めぐみは斉木の奥さんになるはずだったんだし、坂田との親交は深いはず。いろいろ知っているだろうと思った。  ──坂田仁志の奥さんのことを。  訊ねると、めぐみはめちゃくちゃ驚いていた。  坂田の結婚から6・7年。彼の結婚式には出席したものの、だれからも奥さんの話を聞こうとしなかったのはあたしなのだ。  しかし、聞けばめぐみも坂田の結婚以来あまり彼とやりとりはしていないらしかった。だがめぐみと斉木の息子である光なら、坂田夫婦とメッセージのやりとりをしていると聞き、膝から抜けていきそうな気持ちになった。  中学生の男の子に、よその奥さんについて探りなんて入れていいものだろうか。  なけなしの良心が疼いたが、背に腹は代えられなかった。  坂田の奥さんの顔を見て、どうしても訊いてみたいことがある。 .
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