命長ければ恥多し

7/40
前へ
/200ページ
次へ
   恥ずかしげもなく中学生男子に連絡を取ってもらい、内緒で坂田の奥さんに会うことになった。  日曜である今日、坂田はちょうど子どもさんを連れて出ており、彼女はひとりでいたとのことだった。  最初は光くんから陽香さんの話を聞くだけでもいいと思っていた。  だがほかにもほかにも、とせがむあたしに拘束される時間が長くなり、うんざりした顔の少年に「もう直接会ってきて。めんどくさい」と引導を渡されたのだ。  中学生から引きぎわを教わってしまった情けなさをよそに、あたしの中には恐怖と好奇、ふたつの心がせめぎ合う。  光くんからシェアしてもらった待ち合わせ場所を眺め、思わず天を仰いだ。  場所は坂田が家族と住むマンションのほど近く、駅寄りの通りに面したおしゃれそうなカフェだった。  よく知らない女と急に会うのに、こういう場所がポンと出てくるあたり、しっかりした女性なのだろうなと勝手に落ち込んだ。記憶の中の彼女は、ウェディングドレス姿だからよけい。 .
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

422人が本棚に入れています
本棚に追加