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「す、すみません。一瞬、記憶といっしょに高校生に戻ってしまいました」
「いえ、わかります」
陽香さんの語気が少し強くなった。
「結婚後、真っ先に呼び出しを食らいました。やっぱり仁志くんを返して欲しい、とかなんとか……」
「え……坂田、やっぱりあの女豹とデキてたんですか」
「大昔の話ですけど。彼からは、ちゃんと別れ話をしたって聞いてたのに」
「なんとなくそうかなとは思ってたけど、陽香さんの口から聞くとちょっと驚いちゃう……」
「あとはその都度、受け持った生徒さんが思いきれずに訪ねてきたりとか。新任の女性教師とか……保護者さんがいちばん多いです」
「ほ、ほごしゃ」
とたんに、若作りのエノモトさんを思い出してしまい、ぶちまけたい衝動にかられた。
こうして面と向かってしまった以上、坂田と陽香さんの仲を裂きたいわけではない。坂田も少しは痛い目に遭えばいい、と何様な気持ちになってしまったのだ。
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