命長ければ恥多し

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   あたしも、そんな恋をしたかった。坂田と陽香さんのような。  人と自分は違う、ということは救いになる。だが、その違いをうらやんだり打ちのめされることもままあるのだ。  胸の中で、甘やかな痛みときびしめの優しさが輪郭をなくして混ざり合い、名前のない感情になっていくのがわかった。  ひとつだけ確かなのは、だれも傷ついて欲しくないという素直な欲求だけだった。 「あまり……あまり坂田のこと、いじめないであげてください。あたしもくやしいから、ちょっと痛い目見て欲しいなとは思いますけど、なにかを失うほどのことではないとも、思うので」 「がんばります。一応、彼の顔色はちゃんと見てるんですよ。……だから、しばらくそのことはナイショにしておいてくださいね」  いたずらっぽく笑った陽香さんに、もう対抗心などわいてこなかった。  少女マンガっぽく言えばこの夫婦はきっと、互いが互いに最初から用意されていた二人だったのかも知れない。  そんな話を、少しだけ信じてみたくなった。  自分にもそんな相手がいるかも知れない、とまでは思えなかったが。 .
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