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「あなたにその気がなくても、女の人に理解があっても、それを越えたいと思わせる男なんだよ。坂田は」
坂田は、キョトンとした顔でこちらを見た。まさか自覚がないのか、この男。
「……長倉に言われると、さすがに危機感覚えてしまうね」
「もう若くないんだし家庭持ちなんだから、自分の行動のひとつひとつに責任持ちなよ。実害出てるんだから。今後は家族や友達以外にうかつに微笑みかけちゃだめ」
「でも、愛想がいいほうが周囲が喜ぶんだけど……」
「学校の先生なんだから、そういうのいらないのよ。サービス業じゃないんだから、カタブツと思われて損する仕事じゃないでしょ」
「不愛想だと、周りからの評価とか……」
「年単位でつき合ってて、坂田のこと理解してくれてる職場の人ならニコニコしても大丈夫だよ。根はまじめなんだから誤解はされないでしょ」
「そっか」
「そうだよ」
意外と素直な坂田の反応を見ると、ずっと年下の新人育成をしている気分になる。
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