命長ければ恥多し

38/40

423人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
  「さすが長倉。学校ってさ、基本的に代わり映えしない空間だから。同世代のサラリーマンと会うと、みんなそこそこ人間が練れててハッとする。反動で自分はガキだなって思うことけっこう多いんだ」 「そうなの?」 「うん。俺は大学生気分が抜けてないのかな、って思う」  心なしかしょんぼりした様子の坂田を見て、なんとなく腑に落ちた。この男は、忙しいくせに同窓会などには進んで顔を出す。たぶんだけど、自分の立ち位置が気になるんだ。 『一応、彼の顔色はちゃんと見てるんですよ。……だから、しばらくそのことはナイショにしておいてくださいね』  陽香さんの、ちょっと悪い面を思い出した。これは今こそ女同士の秘密に操を立て、友人として正しい援護射撃をするべきなのではなかろうか。 「そういうの、奥さんと話したら?」 「え? どうして」 「結婚相手って、いちばん相手に理解がある存在なんじゃないかっていう一般論。坂田が何か不安なら、奥さんが力になってくれるでしょ」 「……」 .
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

423人が本棚に入れています
本棚に追加