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「仲良かったんだ……?」
訊くと、はるやは複雑に顔を歪めた。
「仕事上の息は合うてたけど、ウマが合うてたわけやない」
「ああ、そういう人もいるね」
なんとなく、はるやは元仲間だというその人のことをそんなに好きではないのであろうことがわかった。
「恋愛経験がないのが話にならないってどういうことなの?」
「ああ、話あべこべですまん。ええと……そのオンナ、なんや有名な少女小説家らしいんやけど、一般小説にうまく移れんらしくて。……友達、そのオンナの担当なんやて。上手に作品書かせるために、恋愛の経験が要る言うて、おれに白羽の矢が立ったっちゅうわけや」
「なに、それ。ドラマとか映画の話みたい」
「まったくない話やないんやけどな。自称物書きとか、女優に雇われたことあるし……」
なにを思い出しているのか、はるやの目線が上を向いて泳ぎ出す。
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