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あたしはと言うと、いま目の前のはるやの態度をどう受け取ればいいのか戸惑っていた。
世の中には、セックスの快楽だけで相手の心や人生に執着しない関係がたくさんあることは知っている。自分たちの関係が、限りなくそれに近いことも。
だがそう割り切るには、はるやとの温度は少しだけ高すぎる気がしてしまうのは、あたしだけなのだろうか。
それでも事後の気だるい余韻の中、はるやが楽しそうに話しているのを見るのは悪くない、と思ってしまう。
「ふうん。最初から思ってたけど、やっぱりあたしとは別次元で生きてる人なんだね。はるやって」
「そんなことあらへんよ」
「多数少数で言えば、あたしは間違いなく多数派だもん」
「数は関係あらへんよ。ちーちゃんはちーちゃんやんか」
明らかな少数派に言われると微妙に寒空しい気持ちになる、と言ってあげてもよかったのだが、テンションが上がっている人に水を差す気にもなれない。
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