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ほんの数秒前となんら変わらないとわかっているのに、手を伸ばせばすぐに触れられる距離なのに。
気づいた瞬間、隣でまどろみ始めたはるやを急に遠くに感じてしまった。
どうしてあたしは、あたしを選ばない人にばかり恋をしてしまうのだろう。
だれとどんなふうに抱き合ったとしても、心までそうし合わなければ幸せじゃないってこと、いいかげん知っているのに。
「……はるや」
こわごわと、健康そうな頬に指先をすべらせる。はるやは一瞬反応したものの、そのまますうすうと寝息を立てていく。
落ちていく彼に心底安堵し、癒されながら。
彼が惹かれたというそのオンナさんは、こんな人に見つけてもらえて幸せだろうなあと思った。
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