第二の人生……とは

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   あたしにできる胡桃花音の身辺調査は、本屋に並んでいる彼女の著書を眺めることくらいしかないらしい。  少女向けのジュニア小説の棚の前なんて、何年ぶりに来ただろう。もっともあたしは熱心な読者というわけではなく、学生時代のグループのだれかしらが小説やアニメを好んでいたので、つき合ってぼんやり眺めていた程度だったけれど。  胡桃花音がどのレーベルにいるのかネットで見た気がするけれど、あたしは顔を見たかっただけなので頭に残っていなかった。我ながら、つくづく浅い女だ。  水色やピンクの背表紙、著者名のあたりを1冊1冊注意深く見ていく。あたしは間違いさがしを上手にできないタイプなので、見落とさないように。  ──と思ったら、そんなのは杞憂だった。  おそらくいちばん本棚を占有しているレーベルのわりと最初のほうに、胡桃花音の名は20冊ほど連続して置かれていた。 「……え。これって、売れっ子ってことじゃん」  思わず声に出してしまった。 .
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