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驚いて比較的古そうな１冊を手に取ると、初版は１０年近く前。ずっとシリーズで続いていて、面食らった。
少女モノだからあまり有名にならずにいるが、これが少し棚の違う一般文庫に置かれているような作品だとしたら、ドラマや映画化連発クラスってことじゃないだろうか。
はるやが惹かれているオンナさん──もとい、胡桃花音さんはけっこうすごい女性らしい。
なんとなく、足元が心もとなく冷えていく気がした。
「そういう趣味、あったんですか。意外です」
うしろから澄んだ声が聞こえて、驚いて本を取り落としそうになった。
「……夏菜子」
最近は夏菜子のほうがあたしとふたりになることを避けていたせいか、さらさらと揺れるおかっぱをひさしぶりに間近で見た。
そういえばあたし、この子に告白されたんだった……。
どこまであたしは自己中心的な人間なんだろうと、嫌気がさす。ほんとうは先輩ＯＬとして、彼女のフォローだってすべきなのに。
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