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はたと、自分の話をするはるやの言葉を思い出す。
『余裕のあり余った女と、余裕なんかこれっぽっちもない女』
『おれはそういう人の相手、好きやった。病院とかでは治せんもんを預けてもろてる気がして』
ややこしさという軸の上では、見ようによってはどちらも同じなのかも知れない。
「いちばん騒ぎになったのって、人妻です」
「え……」
「ラブホ入って、数時間後出てきたところを押さえられたとかで。相手の女の配偶者と乱闘になって警察呼ばれそうになったので、アールが駆けつけたとかなんとか」
「それはまた……」
嘘のような話、と驚きつつも、はるやならそれくらい経験してそう……なんて思ってしまう。
「あれでよく会社にバレずに社会人できてるなと思います」
夏菜子は呆れるでもなく、フラットに話しているようだった。この子のしゃべりに感情が見えないのはいつものことだが、妙な気持ちだ。
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