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「長倉先輩のシンプルなところ、すごくわかりやすくて好きなんですけど。もしかして、恋人はこういうものとか、男はこうとか、女はこうだとか。そういう狭いところで思考や行動を決めてないですか」
「……」
とっさに返す言葉が出てこないくらい、考えたことのないことだった。
「当たり前なんですけど、人間ってけっこう違うんですよ。ひとりひとり。同じやりかたで同じ解決、できるわけないじゃないですか」
「それは……そう、かも知れないけど」
なんとなく夏菜子の言うことは理解できたが、なんだかうまく咀嚼できない。
「何十年と暮らしてきた家族でも殺し合うことがある人間なんですから。……長倉先輩は、もっとご自身のこと大事にしてください」
「えっ、どうしてそのようなアドバイスを」
「レーヤさんのこと気遣いすぎかも、という空気を感じたので。なんでも察してくれそうな人ですけど、あの人に控えめに接しても無駄だと思います。レーヤさん、自己中なので」
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