第二の人生……とは

21/40

423人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
  「僕ね、基本他人には興味がないんだけど」 「知ってるけど……?」 「関わったことのあるだれかがちょっと様子が違うと、どうにも気になってしまって」 「サル山のボス猿精神ね、お疲れさま」 「ああ、そういうことなのかなー。言いえて妙」 「あたしにはかまわなくていいから」 「まあ、そう言わずにボス猿の話も聞いてよ。長倉、最近なにか思い悩んでるのがだだ漏れっていうか。無駄に色気振りまいてるから気をつけなよ」 「え?」 「悩んでる人間は、他人には美しくて隙だらけに見えるの。じゃあ僕、いちおう言ったからね」  長谷川はポケットに手をつっこみ、にこやかに経理部をあとにした。みんながコーヒー休憩に立ったのを見計らってきたのだとしたら、相変わらずそつのないやつだと思う。  長谷川が置いていった資料にぼんやり視線を落とすと、コーヒーヌガーの一口チョコレートがころんと1個乗っていた。  長谷川は人たらしでサディストなので、他人のことをよく見ている。だれが置いていった、なんて考えるまでもなかった。 .
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

423人が本棚に入れています
本棚に追加