第二の人生……とは

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  「実家におったころ思い出した。よう『アレはアカン、コレもアカン』って叱られたわぁ。なんか懐かしくなった」  実家にはもう戻りたくないとふだんは言っているくせに、はるやはへらりと無防備に笑った。あまりにも嬉しそうなものだから、ほんとは戻りたいんじゃないんだろうかなんて思った。この様子じゃ少なくとも、母親のことを嫌ってはいない。 「東京来てー、いかがわしいバイトで人間関係学んでー、社会人になるころには行儀と外ヅラのええ男になっててー。せやから、叱られたことないねん。おれ」  無意味に自分のことを指で数え上げながら、はるやはとろんとした目をこちらに向けた。 「甘えてええんかなーって、なついてまうやろ」  そうしてはるやは、にっこりと笑顔になる。……元がいいものだから、天使かと思ってしまう。  明るい髪につい手を伸ばし、そのまま頭を胸に抱きよせてしまった。 .
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