第二の人生……とは

27/40

423人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
  「それはあかん」  やけにはっきりとした声で言われた。 「なんでよ」  はるやはあたしの胸からひょいと顔を上げ、お酒の余韻はあるものの、真っすぐにこちらを見つめる。 「恋なんてもんは、いつか終わる。必ず終わるもんや。……おれはちーちゃんと終わりたくない。だからあかん」 「ちょっと……どういうこと。じゃあいまはるやが好き好きいってる作家さんは、なんなの」 「限られたもんやから全力投球したいだけ」 「ふつうは、恋が終わらないようにがんばるもんじゃないの?」  それは、坂田への恋心からの叫びだった。坂田に恋人ができても、結婚しても、終わらせないようにしていた。本当に好きで、欲しかったからだ。  はるやは、見たこともないような苦ったらしい皮肉な笑みを浮かべる。 「がんばっても結局、終わったやろ」  見透かすように、はるやはかすれた声で言った。そのまま彼の視線は外れる。 .
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

423人が本棚に入れています
本棚に追加