423人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
「ふうん。ふたりのプランにゴールインはまだ浮かんでこないの？」
「千佳の期待に添えなくて悪いけど、相変わらずどっちにもその気はない」
杏は会社の上司の男と結婚するかと思ったのに、この数年つかず離れずのつき合いを続けている。
最初の無言の別れが１回、友人の結婚式にいっしょに列席してくれなかった別れが１回、彼の秘書と三角関係の末の別れが１回。あたしが知っているだけでそれだけもめているくせに、偶然出会っただなんだで復縁するものだから、あたしはもしかしたらそういうプレイなんじゃないかとこっそり疑っている。いまは小康状態と言ったところか。
あたしにとっての杏と彼は、大昔聴いたＪ－ＰＯＰの「何度くり返しても戻ってきてしまうふたり」的な歌詞のようだ。一生懸命の結果、毎年のように違う男を連れ歩いてしまっていたあたしからすれば、それでもいいなと思えてしまう。
.
最初のコメントを投稿しよう！