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なんで彼のほうが傷ついたような顔をしてるんだろうと、警鐘に蹴飛ばされ続ける意識のほうで少し思った。
はるやは唇を噛んでから一気に息を吐き、また深く吸う。
「だれにも言えんこと……ちーちゃんといっぱいしてるのに、おれは、ほかの女と寝た」
区切るようにはっきりと、はるやは言った。
「そ……れは……お、男の人なんだし、たまにはそういうこともあるよ……」
「アホか。この期に及んでなに言うてんねん」
「だって、あたし、はるやからなにも言われてないよ……あたしだって、はるやには一言だって、そんな」
「中学生ちゃうぞ。わかるやろ。おれらのつき合いがどういうことやったんか」
「わかんないよ! 言葉で確かめてないことなんて、わかるわけないじゃない!」
はるやはさらに傷ついたように目を細めた。
……だから、どうしてはるやのほうが傷ついたみたいな顔するの。
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