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そこそこの長身、広い背中、長い指、やわらかくて明るめの髪、象牙色の肌、通った鼻筋、かたちのいい唇、澄んだ紅茶のような琥珀色の瞳。
あたしの男性の好みは、おそろしいほど初恋の人の持つ要素でできている。
それ以降の恋は、あたしの好きなどれかを持っている男の人ばかりだ。
見上げた角度が同じ、好き。
抱きつきたくなる背中、好き。
ふわふわの茶髪、好き。
自分でもおろかだなと思うくらい、それはもう簡単にハマり込む。
すぐに深い仲になってしまって、あるときふと気づく。
──この人はどうも坂田仁志ではない、と。
高校で見つけたあたしの初恋は、十数年経ってもまだ終わっていないのだ。
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