はじまりはいつも恋

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  「まあ、出会っても互いに秘密を守るのが厳守ではあるけど。迂闊に名乗らんほうがええよ。気をつけるのは、それくらい」 「じゃあ、あたしの名前も忘れてください」 「ほな、ちーちゃんって呼ぶのはええ?」 「……。あなたはいったい何者ですか? ここ、ほかのお客さんは入れないみたいだけど。スペシャルなカスタマー?」  呼びかたなんてこの際どうでもよかった。さっきエントランスにいたアールさんとの合言葉のようなものを思い出して、そう訊いてみる。 「まあ、そうやろか。ここの立ち上げとか内装とか、手伝った。おれ、ここのオーナーの古い友達やねん。そのシャンパンも、おれ専用のウェルカムドリンクみたいなもん」 「ありがたくイタダキマス」 「そそ。ここでは女の人は遠慮せんでええよ。料金は男持ちやから」 「……!? マッチングバーみたい……」 「そんな感じ。だから基本、だれを引っかけても男は金持っとるよ。その金の背景までは知らんけど」 .
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