はじまりはいつも恋

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   わざと突き放した言いかたをしたのは、まさに30歳を過ぎたあたしの防衛線だった。  こちらの気まぐれにつき合ってもくれないような人は、もう友人でさえいらないのだ。あたしはもちろん、好きな友人の気まぐれにつき合うのが好きというのが大前提。  レーヤは少し天井を見つめ、考えているようだった。  ややあってレーヤはぱっと笑顔になり、あたしの顔を覗き込む。 「そんなら、そのぼーやにいやってほどイカされるっていう経験のひとつくらい、増やしてみる?」 「ぶほっ」  いままさに口に入れようとした焼き鳥を、勢いよく正面に飛ばしてしまう。  飛んでいった焼き鳥はレーヤの顔に当た……る前に、彼が素手でキャッチした。 「セーフ! 器用なことすんな、ちーちゃん」 「いまなんて言った?」 「だから、いやってほどイ……」 「二度言えなんて言ってない!」 「『いまなんて言った?』って訊き返すからやん!」 .
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